岩井研究科長よりの主催者ご挨拶の後、山口助教よりHiDEPの紹介を行いました。 HiDEPは今年度の次世代医療機器携拠点整備等事業(AMED」に採択されました。今後も引き続いてプログラムの充実・強化を図ってまいりますが、AIは今後深く関わってくる重要技術であることから、今回の特別シンポジウムはHiDEPの新しい取り組みのキックオフの位置付けとも捉えています。

今回はAI技術を用いた医療の研究開発、承認審査において第一線で活躍しておられる以下、4名の先生方にご講演をお願い致しました。

1.「社会実装を志向したAI搭載医療機器の開発」 浜本 隆二 先生

(社)日本メディカルAI学会 代表理事

2.「医療・予防医療におけるAIの開発と活用に向けて」 瀬々 潤 先生

(株)ヒューマノーム研究所 代表取締役社長

3.「深層学習の医療・創薬への応用」 石谷 隆一郎 先生

(株)Preferred Networks リサーチャー/東京大学大学院理学系研究科 特任教授

4.「AIを用いた医療機器の承認審査の考え方」 加藤 健太郎 先生

(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA) 医療機器審査第一部 審査専門員

浜本先生からは、医療AI研究の現状や世界の潮流、日本のAI戦略(Society5.0への取り込み、オールジャパン体制)、CREST/PRISMなど国家プロジェクトの概要、さらには、メディカルAIを進めるための重要なポイント(現場の先生の仕事を阻害しないこと、効率的に良質なデータ収集を行うこと)についてお示しいただきました。また、社会実装を志向したAI搭載医療機器の例として、内視鏡や婦人科での画像解析AI応用などの紹介をしていただきました。

 

瀬々先生からは、AI研究の進展(今や実働の時代。AIが医師を直接的に補助することを目標とした研究が進んでいる)、予防医療に向けた活動例(湯野浜ヒューマノームラボ)、医療情報学と工学の関わりなどを御紹介いただきました。AIは単なる手段であり、医師のため、患者のためのものを作るべきだとの強い思いから、先生が会長を務められる第二回日本メディカル学会学術集会では「AIを医師にも患者にも」の文言を副題としていることも紹介されました。

 

石谷先生からは、深層学習の特徴や優れた点及びその医療分野への応用例について紹介いただきました。創薬への応用例として、深層学習技術が化合物合成のデザインや化合物の物性推定が可能なレベルにまで至っていることをお示しいただきました。

 

 

加藤先生からは、医療機器の承認審査に関わっておられるお立場から、非常に分かりやすく有用な情報をご提供いただきました。まずは「そもそも医療機器を上市するにあたってどのような規制があるか」について基本的な解説をしていただきました。政令に「プログラム」の文言が追加されていることから、診断用に用いるプログラムはすべて薬機法の対象になるとのことです。後半はプログラムを使う機器開発についてでした。現在のところ、ブラックボックス性(AIの挙動の根拠が機器の開発者にとっても未知数なこと)と可塑性(市販後も医療機器の性能を逐次変化させる運用がなされる可能性があること、市販後学習により必ずしも性能向上するとは限らない)の2点が審査にあたっての重要なポインであるとのことでした。

最後に寺西副機構長より演者の先生方、聴講者の方々、サポートしていただいた大学側関係者の方々に対して感謝のお言葉が述べられ、閉会となりました。講演後の懇親会では意見交換や名刺交換を通じて活発な交流が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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