日時:2022年2月24日(木)18:00~19:00

会場:オンライン(Zoomミーティング)

講師:合田公志郎先生 [株式会社MBR 取締役(知財担当)、特許庁委嘱事業 知財戦略デザイナー(鳥取大学担当)]

講演タイトル: しくじり先生 ~知っておきたい失敗事例~

 

知的財産の専門家であり、大手製薬企業の研究・知財部門や複数のベンチャー企業などご経験が豊富な合田先生をお招きしました。講演では、以下の内容に沿って、先生独自の分析、ご意見をわかりやすく紹介していただきました。

1.ベンチャーの賞味期限

2.ベンチャーの光と影

3.ベンチャーの賞味期限の原因とは何か?(ベンチャーに関与した経験から)

4.多くの先行事例から学ぶ/ベンチャーが生き残るためには?

 

ベンチャーの生存率は1年後は73%、5年後は42%、10年後は26%と厳しい状況にあります。ベンチャーにはいわゆる賞味期限があり、原因としてはコア技術の陳腐化、経営者のマネジメント不足、資金不足があげられ、結果、活動が停滞して休眠状態に陥ってしまいます。特に大学発ベンチャーには以下のような構造的、精神的欠陥が指摘されているとのことです。

1)大学で開発された技術に固執してしまう

2)大学研究者の多くは経営者としての適性に欠ける

 

うまく行っていない先行事例から学ぶ、ベンチャーが生き残るために必要なこととして、以下が挙げられました。

1)コア技術の育成

・時間経過の中で現実の変化を冷静に観察し、顧客ニーズに対応して、コア技術を改良し、レベルアップすることでコア技術の賞味期限を更新する。

2)経営資源の確保

・経営を安定させるためには、「日銭稼ぎ」をどのように作って行くか、次へのステップアップに備えて、資金をどのように調達するかがポイント。

・ベンチャーを設立する前に、数年の内に製品化できるもの、あるいはライセンスアウトして、マイルストーンの支払いを受けれる化合物の有無を検討して、ベンチャーの開発計画に優先順位を付けて、「日銭稼ぎ」の仕事をまず仕上げて行くことを考えるべき。

2)マネージメント

・コア技術の育成、必要に応じた方針転換や業容拡大、経営資源の調達など、時代を見ることが出来るマネジメント能力が必要

 

講演後のQ&Aセッションでは様々な質問が寄せられ、先生からは、ベンチャーを解散するならば資金が残る早い内に行い次の挑戦をするべき(ターンオーバーを早くするべき)、経営のプロの参画が必要、IPOではなくM&Aを目指すことも重要などのコメントをいただきました。また、大学以外、すなわち製薬企業、VC、証券会社や世間一般から大学発ベンチャーがどのように見られているか、どのように評価されているかについて、厳しくも忌憚のないご意見をいただきました。

 

以上、時間を一杯使った盛りだくさんな内容について熱意のある講演を行っていただき、ベンチャーの起業や運営ついての大変貴重なアドバイスをいただきました。合田先生、どうもありがとうございました。

以上

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