1)望月 修一 先生(PMDA 臨床医学担当スペシャリスト) 医療機器開発について

先生は医療機器開発、ベンチャー起業、大学での産学連携などの多くのご経験をお持ちです。今回、規制当局のお立場でありながら、開発者の視点も交えて、下記について精力的で非常に内容の濃い講義を行っていただきました。

・医療機器の国内外の開発動向、開発の流れ、規制

・医療機器とは:CLASS分類

・承認申請と審査

・医療機器の非臨床試験・臨床試験

・医療機器開発における産学連携

特に臨床試験の項では、承認には治験が必要とされた場合の開発側の考え方、進め方や試験デザインについて以下のアドバイスをいただきました。

・治験が必要と言われると開発を諦めることが多いが、成功すれば治験は他者の「参入障壁」ともなりうるので有利

・AMEDなど公的資金の活用により開発費用の節約が可能

・医師主導治験ではARO(academic research organization)に試験デザインなどを相談するべきであるし、AROを利用して治験を行う選択肢もある

・標榜したい臨床的意義に対応するエンドポイントを設定し、上市後に主張したい効能効果や対象患者などが統計学的に証明できるような試験デザインとするべき

2)淺野 美奈 先生(AMED 知的財産部長) アカデミアにおける医療分野の研究開発と知財戦略

AMEDの組織および事業等についてのご紹介ののち、知的財産に対する考え方、活用の仕方について教えていただきました。

アカデミアにおける医療の研究開発と知財戦略の関係、留意点:

・知財戦略は目的ではなく、患者に医療を届けるためのツールの1つ

・研究成果を患者に伝えるルートとしては、企業へのライセンス、共同研究、もしくはベンチャーでの開発が挙げられる

・莫大な研究資金が必要な医療分野の研究開発では、企業等との早期パートナーシップが重要

・低分子医薬品、医療機器、再生医療材料など、分野によって知財戦略は異なり、出口に合った戦略を立てるべき

また、AMED知財戦略部では、今年度、医療機器分野における支援の強化を目標とされているとのことで、知財コンサルティング、医療機器アイデアボックスなどの各種支援策についても紹介していただきました。知的財産戦略は研究開発を進める際に最も重要な戦略の一つですので、今後のHiDEP活動においてもこれら支援策の積極的な活用が必要になると思います。

3):

・杉崎 覚 先生(特許庁 審査第二部医療機器 審査官) 医療機器開発における知財連略

・安田 昌司 先生(特許庁 審査第二部医療機器 審査官) 平成30年度 特許出願動向調査-人工関節-

杉崎先生には、以下について非常に分かりやすく解説していただきました。

・知的財産制度とは、

・ビジネスにおける「戦略」と「知財戦略」

・知財戦略の考え方

・知的財産戦略を策定する際に知っておくべき制度、支援施策

・医療機器の審査で重要な審査実務

・医療機器分野の知財戦略の現状

また、以下2つの特許庁の支援サービスについても紹介していただきました。

・J-PlatPat:国内外の特許情報及び審査・登録・審判に関する経過情報を閲覧可能

・ワンポータルドシエ(OPD):日本以外の国での審査状況をワンストップで確認可能

安田先生には、特許出願技術動向調査についての詳細な解説資料を提供していただくとともに、限られた時間ではありましたが、実際の審査事例を用いて「特許審査時の対応方法」について説明していただきました。

さらに、両先生より、特許出願における明細書の意義や書き方、進歩性について考え方や拒絶理由通知に対する応対のポイントについて、私見も交えて非常に丁寧に分かりやすく解説していただきました。ご厚意によりこれらの説明資料も提供していただきましたので今後、大いに活用させていただきたいと思います。

  • 当日の夜、東京近辺在住の過去のHiDEP受講生や関係者を交えての懇親会を行いました。HiDEPネットワークのさらなる広がりの良い機会であったと思います。


以上

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