11/20(月)に第2回イノベーションハブ京都交流会「Health Care Meetup!」を医薬系総合研究棟1階にて開催いたしました。今回は、京都市、(財)京都高度技術研究所(ASTEM)との共催です。京都市、ASTEMは、「京都市ライフイノベーション創出支援センター」を拠点として、ライフサイエンス分野における新事業や大学発ベンチャーの創出支援に取り組んでおられます。ライフサイエンス分野での新事業創出、起業に関心をお持ちの学内外の学生、研究者、若手社会人を主な対象として、ベンチャー経営者、(株)マイオリッジの牧田直大代表取締役、佐竹晃太代表取締役CEOのお二方にご講演いただきました(佐竹社長、牧田社長のご経歴は下記参照)。

最初に京都大学医学研究科「医学領域」産学連携推進機構より、イノベーションハブ京都の概要説明があり、続いてマイオリッジの牧田直大代表取締役からのご講演です。

マイオリッジは、南一成技術顧問(大阪大学医学系研究科特任准教授/元京都大学特定拠点助教)の研究成果を基に生まれたベンチャーで、新規化合物を用いたプロテインフリー分化誘導法により、安定・低コストかつ高い成熟度でiPS細胞から心筋細胞に分化誘導し、その細胞を創薬ツールに加工し、大学研究室や製薬企業に代表されるユーザーへ、細胞生存率の高い新規の凍結保存法を用いて安定供給しています。

講演タイトルは、「ヒトiPS-心筋細胞の低コスト・高品質・安定生産技術」として、会社概要、背景(iPS-心筋細胞の応用事例)、基礎研究から会社設立までの経緯、自社心筋細胞について、ご講演くださいました。現在、心筋細胞から心臓1つを製作しようとすると30億円のコストがかかりますが、マイオリッジが開発した新規化合物によって、1/100のコストで製作することができます。「質の良い心筋細胞を全世界の患者さんへ、患者さんのために研究されている研究者の方へ届ける。iPS細胞業界のインフラになる」を企業ミッションとして、更なる高みを目指しておられます。

続いてCureAppの佐竹晃太代表取締役CEOのご講演です。CureAppは、医学的エビデンスに基づいた疾患治療用プログラム医療機器の研究開発から製造販売まで行うMedTechベンチャーで、日本初の「病気を治療する効果を持つアプリ=治療アプリ」の開発に取り組んでいます。この10月にニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の治験を発表し、今、注目のベンチャーです。

講演タイトルは、「日本発の治療アプリ・デジタル療法の確立を目指して」。医師である佐竹社長がキュア・アップを創業するに至った経緯、自社事業紹介についてご講演いただきました。また、最後に起業を考えておられる方へのメッセージももいただきました。ご講演の中で、スティーブ・ジョブズの言葉「Connecting the dots looking backward」を挙げ、上海でのMBA取得、ジョンズ・ホプキンス大学への留学、医療情報科学の学びなど、そのときそのとき選んだ選択肢が、今になってつながりキュア・アップにつながっている、アントレプレナーシップとは、「ゼロから足りないものを集めて(学ぶこと・仲間・お金・提携先)、社会の為になる夢・ビジョンを成し遂げること」と仰っていました。起業前後のものの考え方・見方、起業から現在までどうやって資金調達したかについてもお話してくださいました。

最後のセッションは、お二人をパネリストとしてのパネルディスカッション。ファシリテーターは、ものづくりベンチャー支援プログラム「Makers Boot Camp」を運営する(株)Darma Tech Labsの牧野成将代表取締役社長がを務めてくださいました。牧野社長からは、「どうやってメンバーを集めたか」、「なぜ起業家になろうと思ったのか」など、起業を目指す参加者にとって関心のある質問がされました。また会場からも質問を受け付け、参加者から「これまでの失敗経験「しくじり先生」のようなことを教えてほしい」と質問がありました。質問に対し、佐竹社長は、「アプリのローンチを焦り、バグだらけのアプリを患者さんに使ってもらったのだが、上の先生から、病気と向き合っている患者さんに対して、こんなバグだらけのアプリを使わせるのはあってはいけないこと。患者さんのことを真剣に考えていない」と怒られた。焦るあまり、本来の目的を見失っていた」と、牧田社長からは「ベンチャーキャピタルの方に対して、現実味の無い売上予測を話して「いい加減なことを言うのは社長失格。真摯になって、自分の言葉に責任を持ちなさい」と怒られた」との回答がありました。

パネルディスカッションの後は、軽食をとりながらの交流会。佐竹社長、牧田社長を中心に、皆様、交流を深めておられました。今回は37名の方にご参加いただき、大盛況のうちに終了し、参加者アンケートでは「今後も本イベントに参加したい」等のお言葉をいただきました。

今回のように京都市やASTEMといった外部機関とも連携して、今後もイノベーションハブ京都での交流を盛り上げていきます。皆様、ぜひご参加ください。次回の交流会は、学内限定で京都大学での医学研究を支えてくださっている本学の医学研究支援センターと動物実験施設からお二人の先生をお招きして、その支援内容等についてご説明いただきます。ご期待ください。

【講演者ご経歴】

(株)CureApp代表取締役CEO 佐竹晃太

慶慮義塾大学医学部を卒業後、日本赤十字医療センターなどで呼吸器内科医として呼吸器疾患診療や禁煙治療に従事。中国上海中欧国際工商学院(CEIBS)にてMBA取得、米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院にてMPH取得。2014年株式会社キュア・アップを創業し、慶慮義塾大学呼吸器内科や東京大学附属病院消化器内科と、疾患治療アプリの共同開発を行っている。

(株)マイオリッジ代表取締役 牧田直大

京都大学在学中に、マイオリッジの技術顧問である元京都大学の南一成の研究室にてiPS細胞の研究支援を行ったことをきっかけに起業を決意するに至り、2016年3月に京都大学を卒業後、同年8月に取締役CTOである末田伸一(京都大学iPS細目研究所所属)と共に、南の研究成果を創薬支援や新薬開発に役立てるべく株式会社マイオリッジを設立。

 

 

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