一昨年に開催した「最先端AIが変革する医療の世界シンポジウム」に続いて、第2回のシンポジウムを開催しました。今回は承認審査側、スタートアップ、アカデミアで活躍されている3名の先生方に最新の知見やご経験を紹介していただくとともに、京都大学の取り組みや研究事例の紹介を行いました。参加者は200名を超え、起業家、アカデミア、投資家、製薬、公的機関などの幅広い分野の方が聴講されました。

冒頭、松田先生の開会ご挨拶の後、山口講師よりAMED「次世代医療機器連携拠点整備等事業」に関して、京都大学の運営体制やHiDEP(起業家人材育成プログラム)などの取り組みを紹介しました。

続いて、AI機器開発の第一線で活躍される鈴木先生、多田先生、荒牧先生に御登壇いただきました。

鈴木先生からは「医療機器における人工知能(AI)の位置付け」と題し、医療機器への人工知能(AI)の応用、日米における法的位置づけの比較、性能向上の考え方、性能向上と薬事承認との関係など、評価・認可側のご経験を踏まえた貴重な情報やアドバイスをいただきました。

 

 

 

 

多田先生からは「内視鏡AI」を手掛けるスタートアップであるAMIの創業者としてのご経験をベースに、起業の背景(なぜ医師が医療機器開発を行うのか)、医療ベンチャー設立のコツ、ピッチコンテストのポイント、内視鏡AIで出来ることと出来ないこと/AI導入がもたらす内視鏡検査へのメリット、世界を目指す戦略などをわかりやすく説明していただきました。

 

 

 

 

荒牧先生からは「AIを支える医療言語処理とその応用アプリケーション」と題し、基本技術(言語処理とは何か、医療テキストを扱うAIとは)をご説明いただくとともに、AIの応用事例の紹介を通じて今後の方向性や将来的な可能性についての最新の知見を紹介していただきました。

 

 

 

 

次に、鈴木先生より京都大学の「デジタルヘルス研究活性化のためのオープンイノベーション機構による取り組み」について、学内研究を育てるための課題をどのように捉え、どのような支援策を行っているかの紹介がなされました。続いて、学内研究の支援策の一つである研究助成金公募の受賞者である、山口先生と池田先生に研究事例の紹介を行っていただきました。山口先生からは「がん患者に寄り添う医療を目指した”がんヘルスケア”研究の立ち上げ」について、研究開始のきっかけ、ぶち当たった壁、現在の研究体制、及び取得した研究データが紹介されました。池田先生からは「月経前症候群の診断支援、治療サポートアプリの開発」について、臨床ニーズ、現在の開発状況、京都大から受けている支援状況が紹介されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総括セッションでは、妙中先生より、国が進める健康・医療戦略の施策の一つである医療機器・ヘルスケアPJに関して、最近の方向性や重点をおいている支援内容などを網羅的に説明していただきました。さらに今回発表された先生方や京都大学の各取り組みが、国/AMEDが進める推進策とどのように関連するか、どのような支援が受けられるかなどの貴重なアドバイスをいただきました。

 

 

 

 

最後に、渡邊先生より演者の先生方、聴講者の方々に対して感謝のお言葉が述べられ、閉会となりました。

以上、AIを含むデジタルヘルス分野の研究・開発・事業化の現状と課題についての最新の知見が紹介され、またQ&Aが活発に交わされ、充実したシンポジウムとなりました。加えて京都大学の取り組みを理解していただく良い機会であったとも思います。オンライン開催との制約はありましたが、本会での御発表をきっかけに新しい繋がりが生まれた例もあるとお聞きしています。今回のシンポジウムが本分野のさらなる発展に少しでも寄与できればと思います。

講演プログラム】

13:00~ 開会挨拶

松田秀一 京都大学医学部附属病院 副病院長/次世代医療機器連携拠点整備等事

業 拠点長

13:05~ AMED「次世代医療機器連携拠点整備等事業」のご紹介

山口太郎 京都大学大学院 医学研究科「医学領域」産学連携推進機構 特定講師

13:15~ 医療機器における人工知能(AI)の位置付け

鈴木孝司 公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所 調査研究室

室長・主任研究員

14:05~ 臨床医起点の医療機器開発──世界に挑戦する日本の内視鏡AI

多田智裕 医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 理事長/株式会社 AI メディカル

サービス 代表取締役 CEO

14:55~ 休憩

15:05~ AIを支える医療言語処理とその応用アプリケーション

荒牧英治 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 ソー

シャル・コンピューティング研究室 教授

15:55~ デジタルヘルス研究活性化のためのオープンイノベーション機構による取り組

鈴木忍 京都大学オープンイノベーション機構 プロジェクトクリエイティブ・マ

ネージャー/京都大学大学院 医学研究科

「医学領域」産学連携推進機構 特定教授

がん患者に寄り添う医療を目指した「がんヘルスケア」研究の立ち上げ

山口建 京都大学大学院 医学研究科 婦人科学産科学 講師

月経前症候群の診断支援、治療サポートアプリの開発

池田裕美枝 京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野

博士課程

16:35~ 総括

妙中義之 国立循環器病研究センター 名誉所員/大阪大学国際医工情報センター

特任教授

16:50~ 閉会挨拶

渡邉大 京都大学大学院 医学研究科 副研究科長/メディカルイノベーション大

学院プログラム プログラムコーディネーター

【主催】

京都大学大学院医学研究科「医学領域」産学連携推進機構

京都大学医学部附属病院先端医療研究開発機構

【共催】

京都大学メディカルイノベーション大学院プログラム(卓越大学院)

京都大学オープンイノベーション機構

AMED「次世代医療機器連携拠点整備等事業」

 

以上

 

 

Recently POSTS
PAGE TOP