日時:2021年9月29日(水)18:30~20:30

会場:オンライン(Zoomミーティング)

講師: 椙山 泰生 先生 椙山女学園大学 現代マネジメント学部 教授/京都大学 名誉教授

内容:アントレプレナーシップ

 

新事業の創造のためにアントレプレナーがなすべき/考えるべきである、ビジネスモデル、学習プロセス、エフェクチュエーションについての講義を行っていただきました。さらに後半のエフェクチュエーションの授業では、概説に加えて、事前課題であったアイスホテルのケースについての発表や起業アイデア出しの思考実験などの演習も行っていただきました。

 

ビジネスモデルはリーンキャンバスによって大体はカバーされるが、利益、顧客価値、共有プロセスに関するしっかりした説明が求められます。

 

利益は、①Pricing Strategy、②Competitive Positioning、③Appropriabiliy(専有可能性)の観点での説明が求められ、VCもこれら収益構造がきっちり出来ているかに注目することが多い。

 

顧客価値については、起業家は顧客にとって価値は何かを提案しなければならないがこれが出来ていないケースが多い。最初に顧客の課題を決めて価値提案(Value Proposition)を行うべき。

 

価値提案を効果的に作るには、リーンスタートアップを使って学習プロセスを回す。リーンスタートアップを早く回すため、試作品としてMVP(Most Viable Products)を作り、顧客からのフィードバックを得る。PMF(Product Market Fit)に到達するには、①顧客の理解、②エバンジェリスト・カスタマーと確認、③ユーザー体験の検証、④初期顧客の獲得、のサイクルを回す必要がある。

 

エフェクチュエーションは、設定したゴールに向かって手段を考える従来のアプローチ(コ―ゼーション)とは異なり、手段から始めるアプローチである(自分が出来ることを組み合わせる、使えるものからスタートする)。将来が予測不可能で、ゴールが不明確であり、自らの行動で環境が変動する場合にエフェクチュエーション戦略が有効。エフェクチュエーションの提唱者であるSarasvathyは「起業家のエキスパートたちの原則」として以下の点を指摘しており、ほとんどのケースでこのようになっていたとのこと。

 

・保有する手段で起業せよ(The bird-in-hand principle)

・許容可能損失を定めよ(The affordable-loss principle)

・偶然をうまく活用せよ(The lemonade principle)

・パートナーシップを構築せよ(The crazy-quilt principle)

 

思考実験では、各自が用意した「自分の持つ手段のリスト」をベースに、設定された社会課題を解決する起業アイデアの創出の演習を行いました。ここでは、課題解決のためのアイデア出しの際のエフェクチュエーション・アプローチ(あなたは誰か、何を知っているのか、誰を知っているのかを考える)を学びました。

 

以上、ビジネスモデルとは何か、どのようなプロセスで作るか、どのような思考でスタートするべきかなど、アントレプレナーシップの現在の考え方について非常にわかりやすく解説していただきました。椙山先生、ありがとうございました。

 

以上

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