2018.06.11
6/2(土)、イノベーションハブ京都にて、HiDEPの講義がありました。
1つ目の講義は、今中雄一先生(医学研究科 社会健康医学系専攻 医療経済学分野 教授/特定非営利活動法人 日本医療経営機構 理事)に「医療の質・経済の可視化と経営」と題して、ご講義いただきました。主な内容は以下。
・健康医療介護の質、経済の可視化
-全国多施設臨床指標プロジェクトQIP(Quality Indicator/Improvement Project)、Choosing Wiselyなど
・組織レベルの可視化:組織文化の可視化と応用、患者別原価計算標準化プロジェクト
・地域レベルの可視化:地域格差、拠点化と連携強化
・社会的協働(Social Joint Venture)
・地域包括ケアシステム、UHC(Universal Health Coverage)の系統的な強化
専門用語が多く、高度な内容だったので、理解するのは難しかったですが、医療経済学分野の最先端の取り組みについて知ることができました。直接的に医療機器開発につながる話ではありませんが、医療機器開発を考える上で、土台となる重要な内容です。受講生からの質問にありましたが、医療の質が単に医薬品や医療機器、医療従事者の技術だけで決まるのではなく、医療従事者のチームワークや患者との信頼関係といった病院の組織文化と相関があるという話が興味深かったです。
続いての講義は、椙山泰生先生(経営管理大学院 教授)による「スタートアップ」。主な内容は以下です。
・新規事業の創造に必要なもの
・Business Model Canvas、顧客価値と価値提案、MVP(Minimum Viable Product)、仮説実証とピボット
・Causation ApproachとEffectuation Approach
・課金モデル(フリー、サブスクリプション、成果報酬)
・Start-upエコシステム
・プレイヤー(ベンチャーキャピタル、法律事務所、大学•研究機関、インキュベーター、アドバイザー、大企業
・CVC(Corporate Venture Capital)、CAP(Corporate Accelerator Program)
・ベンチャー企業の出口戦略(IPO、M&A)
「スタートアップ」という、獏としたテーマで講義をお願いしたにもかかわらず、HiDEPの目的を踏まえ、新事業創出にポイントを絞り、2時間という短い時間の中で分かりやすくご説明してくださいました。普通に講義をしたら、いくら時間があっても足りない講義テーマです。起業エコシステムの事例では、2年前に京都大学起業家育成プログラム「GTEP」で訪れたイスラエルをご紹介してくださいました。講義のポイントは、「新規事業のビジネスモデルにおいて最も重要なのは、価値提案とターゲット顧客の組み合わせ」、「新規事業の創造は,試行錯誤のプロセスであり、「顧客開発」する「Effectuation」の論理に基づくプロセス」です。
今中先生、椙山先生、ご講義、誠にありがとうございました。
HiDEP http://www.ihk.med.kyoto-u.ac.jp/program