2018.07.11
6/27(水)、京都大学東京オフィスにて、HiDEPを実施しました。内容は、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)、特許庁、AMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)それぞれから先生をお招きし、それぞれのお立場、視点から、医療機器開発についてご講義いただきました。
まずPMDAの望月修一先生(医療機器審査官)から「医療機器の承認審査」のタイトルで、以下のような内容についてご講演いただきました。
● 医療機器の現状
● 医療機器開発の流れ
● 医薬品医療機器法とは?
● 医療機器とは?
● 承認申請と審査
● 医療機器の非臨床試験・臨床試験
● 医療機器開発における医工連携
● 医療機器開発における産官学連携
望月先生は、かつて大学で研究者として医療機器開発に従事されていたご経験をお持ちで、そのときの失敗エピソードも交えながら、研究開発する側、承認審査する側、両方の視点で医療機器開発のポイントをお話くださいました。
昼食を挟み、午後の開始は、天野斉先生(特許庁 審査第三部 上席審査長)による「医療分野における知的財産の保護と活用」。以下のような内容でご講義いただきました。
● 知財政策の現状
» 法改正やソフトウェア関連発明の審査基準
● 知財取得・活用支援
» スーパー早期審査、知財ハンズオン支援、特許料等の減免制度などのベンチャー向けの支援策
● 医療分野の知財
» ライフサイエンス分野の審査基準、製品特性や薬事制度等に合わせた保護のバリエーションやどのタイミングで権利化を図るかなどを検討する
● 医療機器分野の知財
» 通常の産学連携(大学の技術シーズを企業に移転)と異なり、医工連携では開発の起点がアカデミア・医療現場となり、それらのニーズを企業の技術で解決する。医療機器開発には多くのプレイヤーが関与しており、プレイヤー間の知財の調整が不可欠。
最後の講義は、岩谷一臣先生(AMED 知的財産部長)です。タイトルは「医療研究開発における知財戦略とAMED知的財産部における知財支援」。主な内容は、以下。
● AMEDの組織および事業等について
● アカデミアにおける医療の研究開発と知財戦略の関係
» 知財戦略は目的ではなく、患者に医療を届けるためのツールの1つ。莫大な研究資金が必要な医療分野の研究開発においては、企業等との早期パートナーシップが重要。
●アカデミアにおける知財戦略の留意点
» 低分子医薬品、医療機器、再生医療材料など、分野によって知財戦略は異なる。海外戦略を含む実用化を見据えた知財戦略。ビッグデータ・AIを中心とした知財戦略も重要になってきている。
●AMED知的財産部における実用化に向けた知財支援
» 知財コンサルテーション、先行技術等調査支援、医療機器アイデアボックス
いずれの講義においても、医療機器開発における薬事や知財等について、具体例や笑いを交え、分かりやすくご講義いただくと共に、受講生からの多くの質問にも、1つ1つ丁寧にご回答いただきました。今は、国は医療機器開発やベンチャー振興に力を入れており、それらに関する支援策を各機関、多数打ち出しています。知らないものがたくさんありましたが、いずれも役に立ちそうなものばかりで、有効活用するべきです。
望月先生、天野先生、岩谷先生、丸一日お時間をとっていただき、有用なご講義をご提供いただき、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。今後の活動の参考にさせていただきます。
本日最後は、懇親会。しかも、昨年度HiDEP受講生の東京組を交えての懇親会でした。まだ2年目ですが、今年度と昨年度のHiDEP受講生が一堂に会し、HiDEPや医療機器開発、それぞれのバックグラウンドなど、会話に花を咲かせていました。この交流から新たなイノベーションが創出されることを期待します。
HiDEP
https://www.ihk.med.kyoto-u.ac.jp/program