13:30-14:30 講演 川口高広先生(ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ディレクター)

14:30-16:00 チーム発表

16:00-17:00 起業家講演 武蔵国弘先生((株)京都創薬研究所 代表取締役社長/むさしドリーム眼科 理事長)

17:00-17:30 結果発表

 

まず、川口先生のご講演。「Johnson & Johnsonにおける医療機器開発エコシステム構築」と題し、同社の医療機器開発の事例をご紹介いただきました。Confidentialな内容で詳しくは書けないのですが、川口先生がGlobalの開発部門を巻き込み、日本の臨床現場ニーズ起点で医療機器開発をされた事例を取り上げ、その背景やプロセス、学びについてご説明いただきました。失敗例についてもご紹介いただき、学びとして「既成概念、既存ソリューションの壁」、「オペ室の中だけでは全ては分からない」ということをお話されていました。改めて世界一の医療機器メーカーの取り組みのスゴさに圧倒されると同時に、大学のプログラムとして、同等レベルの仕組みを構築するのは至難の技だと感じました。

 

川口先生の講義に続いて、今年度HiDEPのメインセッションである各チームの最終発表です。今年度HiDEPは4月にスタートし、受講生は医療機器開発、ビジネスに必要な講義を受け、臨床現場見学を通して臨床現場ニーズを発掘し、3チームに分かれて、それぞれ絞り込んだニーズを解決するソリューション、すなわち医療機器等の検討を重ねてきました。今日は、その最終発表です。

 

審査員は、以下の先生方:

● 上野博之先生 京都イノベーションキャピタル(株) プリンシパル

● 川口高広先生 Johnson & Johnson(株) ディレクター

● 長谷川宏之先生 三菱UFJキャピタル(株) 執行役員 ライフサイエンス部長

● 武蔵国弘先生 (株)京都創薬研究所 代表取締役社長

 

以下の10項目について、審査していただきました。

1.事業の理念…課題設定の適切性/課題解決のインパクト

2.市場性…顧客像・提供価値

3.独創性・革新性 …製品の差別化

4.競合優位性…知財・マーケティング

5.実現可能性-1…人・組織の構成

6.実現可能性-2…技術的達成度

7.実現可能性-3…資金計画

8.実現可能性-4 …本気度

9.収益性 …事業の継続性

10.   プレゼンテーション…アピール力/時間厳守

 

各チームの発表内容は以下。知財の問題があるため、詳細には書けないのですが、Aチームはとろみ剤、Bチームはがん患者の抑うつに関するウェアラブルデバイス、Cチームはリハビリテーションに関するアプリでした。Aチームは武田総合病院の看護師の方のニーズ、Bチームはチームメンバーの体験からのニーズ、Cチームはチームメンバーの作業療法士からのニーズが起点になっています。各チーム、発表が終わると、審査員からはニーズの深さや市場性、知財等々、様々な質問やアドバイスがされました。8/4の中間報告の時点では、各チーム、ソリューションやビジネスモデルの検討が甘く、メンターから厳しい意見が出されていましたが、それからの1ヶ月弱でブラッシュアップされていました。

 

発表が終わり、採点、集計、結果発表ですが、その前に武蔵先生のご講演。武蔵先生はむさしドリーム眼科の理事長であると同時に、バイオベンチャー(株)京都創薬研究所の代表取締役社長でもあられます。さらに、医療機器開発に関する複数の会社の代表もされておられ、医療分野で八面六臂の活躍をされておられます。ご講演の中で、こられの活動についてご紹介いただきましたが、その根底にあるのは2つのミッションです:

● 医師としてのミッション:百万人を救う医師になる

● アントレプレナーとしてのミッション:世の中に求められる付加価値の高いサービス・商品を開発し、提供する

 

内容は盛りだくさんで、医療機器開発はもちろん、医薬品開発やベンチャー、アントレプレナーシップ、デザイン思考についてもお話してくださいました。その中で、武蔵先生のご経験から考える医療機器開発に必要な4つのポイントは以下です:

● ニーズの深さ(常識度外視)

● 特許の強さ(競合優位性)

● 専門家チーム(エンジニア、弁護士、弁理士)

● 出口戦略(開発パートナー)

武蔵先生のご講演では、必ず最初に流す、「◯◯大陸」風の自己紹介動画があり、今回もこの動画でオーディエンスの笑いとハートをがっちり掴んでおられました(動画のナレーションは、実際の「情熱◯◯」のナレーターがされています)。

そして、いよいよ審査結果の発表。ドラムロールが流れ、審査員長の武蔵先生より審査結果が発表されました。結果は以下の通り(100点満点)。

 

Aチーム…72点  Bチーム…62.75  Cチーム…58.75

 

優勝は、Aチームです。評価されたポイントはいくつかありますが、一番大きかったのは、プロトタイプとして実際にとろみ剤を作ってきたところでした。昨年優勝したチームもプロトタイプを披露していましたが、やはりモノがあるとインパクトが違います。Aチームの皆さん、おめでとうございました。

審査結果の発表に続いて、4人の審査員から講評がありましたが、どの先生も、各チームのがんばりを讃えてくださると共に、HiDEPでの経験やネットワークを活用し、医療機器開発に取り組んでほしいとのコメントされていました。企画・運営者の私としても、今後もチーム活動を継続し、事業化を目指していただきたいと思います(昨年度HiDEPでは、3チームの内、2チームが活動を継続しています)。

 

本日、そして今年度HiDEPの最後は、修了証の授与です。医学研究科科長・医学部長の上本伸二先生の名前と医学研究科の公印が押された修了証が、受講生一人一人に手渡されました。そして、山本博一先生(「医学領域」産学連携推進機構 産学連携フェロー)から終了の挨拶があり、今年度HiDEPは幕を閉じました(本当の最後は、この後の打ち上げです。皆さん、HiDEPのプレッシャーから開放され、いつも以上に盛り上がっていました)。

 

4月からの5ヶ月弱、皆さん、お疲れ様でした。本業でお忙しい中、最後までHiDEPにコミットしていただき、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。HiDEPでの学びが、皆さんのこれからのご活躍に少しでも貢献できればこれ以上の幸せはありません。皆さんの益々のご活躍を期待しております。

 

(文責:「医学領域」産学連携推進機構 山口)

 

(株)京都創薬研究所

http://www.kyoto-drug.com/index.html

 

HiDEP

https://www.ihk.med.kyoto-u.ac.jp/program

 

 

 

 

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