日時:2025年8月9日(土)

会場:オンライン(Zoom)

①10:00-12:00

講師:望月 修一 先生

山梨大学大学院 総合研究部
  医学域臨床研究支援講座 教授
山梨大学 医学部附属病院
  臨床研究連携推進部 部長
元・PMDAスペシャリスト

内容:医療機器の承認審査・保険収載

②13:00-15:00

講師:鈴木 孝司 先生

(公財) 医療機器センター 審査役

内容:デジタルヘルス

③15:00-17:00

講師:若林 靖永 先生

佛教大学社会学部 教授
╱京都大学 名誉教授・客員教授

内容:マーケティング

①望月先生講義

PMDAスペシャリストとして活躍され、豊富なご経験をお持ちの先生に、医療機器の承認審査および保険収載について、以下の項目に沿って非常にわかりやすくご解説いただきました。

●医療機器開発の流れ

●医療機器の該当性

●医療機器の規制

●承認審査を行う行政機関

●臨床試験について

●医療機器の製造販売

●市販後から学ぶ

●保険償還について

さらに、開発チームの活動においては、以下の点が重要であるとされました。

●医療機器開発を一人で進めようとしないこと

●医学・工学・知財・倫理・薬事・保険に加え、マーケ
ティング・資金調達・経営などの専門性が必要

●他分野の意見を素直に受け入れる姿勢を持つこと
(特に医師・研究者。自戒を込めて)

まとめとして、「医療機器を患者さんに届けるため」のポイントを以下のように列挙いただきました。

●医療機器を市場に流通させるためには、薬事承認
(認証・届出)が必要

●臨床試験が必要な場合は、臨床研究ではなくGCP
に準拠した治験が必要

●開発の初期段階で企業(製造販売業者)を見つける
か、スタートアップ(ベンチャー)を起業する

●知財を意識した研究と情報公開

●承認はゴールではなくスタート

●PMDA・AMED・ARO・TLOなどをチームに組み込む

●人材育成

●公的資金の活用

Q&Aセッションでは、既存医療機器の開発・承認取得の進め方、海外展開戦略、保険収載の考え方など、多岐にわたる質問が寄せられましたが、いずれも非常に明確かつ丁寧にご回答いただきました。

②鈴木先生講義

医療機器を研究開発する企業やアカデミアにおいて講師・メンターとしてご活躍され、現在は医療機器の認証事業に携わっておられる鈴木先生に、ご講演いただきました。今回の講演では、デジタルヘルス分野に絞り、以下の内容について、多くの事例を交えながらご解説いただきました。

1.ソフトウェア(SaMD)関連のビジネスモデル調査
(2015)の振り返り
 - 6つの分類:デバイス販売ビジネス、
 情報蓄積・共有ビジネス、情報分析ビジネス、
 情報交換ビジネス(コミュニティ提供)、モニタリング
(アラート)ビジネス、教育コンテンツビジネス

2.10年前には予想が甘かった領域
 - 当時は治療分野への参入はまだ先の話と考えていた

3.デジタルヘルス関連の保険収載
 - 医師とAIの責任分担との関係

4.これからデジタルヘルス関連に取り組む上での参考資料
 - そもそも医療機器に該当するのか
 - 何を審査しているのか
 - 開発のためのガイダンス・ガイドライン資料

まとめとして、以下のように整理されました。

●2015年当時に考えられたSaMD関連ビジネスモデルの
6類型
  → 当時は先進的だったが、既に陳腐化・レッド
    オーシャン化が見られる

●行動変容による治療アプリについては見通しが甘かった

●保険収載については一定の方向性が見えてきた
  → 患者への給付という基本理念は変わっていない
  → いかにエビデンスを提示するかが収載のポイント

●SaMD関連の情報が蓄積されてきた
  → 理解者にしか分かりにくい資料も多い
  → 参入を検討している場合は地道な学習が必要

Q&Aセッションでは、デジタルヘルス機器の新規参入の考え方や保険点数の実態など、幅広い質問が寄せられましたが、いずれも丁寧にご回答いただきました。

③若林先生講義

以下の内容について、最新の事例や多様な学説を交え、丁寧にご解説いただきました。

1.戦略としてのマーケティング

2.顧客価値提案とビジネスモデル

3.サービスのマーケティング

4.ソーシャルマーケティング(患者の行動変容)とは何か

5.カスタマージャーニーマップとプロモーション戦略

6.新市場を創造するエフェクチュエーション
 (新市場創造のアプローチ)

Q&Aセッションでは、エフェクチュエーションの考え方や日常業務での実践方法に関する質問・意見交換が行われました。

本講義は、マーケティング理論と医療分野への応用を学ぶ貴重な機会となりました。今回得られた知見を、今後のHiDEP活動にぜひご活用ください。

                        以上

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