今回は、(社)日本医工ものづくりコモンズ専務理事の柏野聡彦先生をお招きし、臨床ニーズ起点の医工連携についてご講演いただくと共に、医工連携を実践しておられる企業二者からもお二人にお越しいただき、医工連携成功のポイントについてお話いただきました。

まず、柏野先生より、「臨床ニーズから始まる医工連携の道筋~臨床・製販・ものづくりの3者連携モデルの実際~」と題して、ご講演いただきました。臨床現場(医療従事者)、ものづくり企業、製販企業の三者が連携して医工連携を進める「製販ドリブンモデル」は、柏野先生が提唱されているモデルです。多くのものづくり企業、製販企業が集まる本郷エリアにおける、「製販ドリブンモデル」の豊富な事例(乳児用無呼吸モニタ、オトスコープなど)をご紹介くださいました。また、医療機関(医療従事者)、ものづくり企業、製販企業、それぞれの立場からの医工連携のメリットをご説明いただき、マッチングイベントでの臨床ニーズの開示の仕方や、商談会におけるものづくり企業の強みの伝え方など、医工連携を実現するための具体的なポイントについてご説明いただきました。

続いて、前多宏信先生((株)フジタ医科器械 代表取締役社長)より、「製販企業を遠慮なく使い倒して医工連携を進めよう!」と題して、ご講演いただきました。内容は、タイトルの通り、医療機器産業に参入する際に、製販企業をどう使い倒すかを中心に、ニーズ発表会、マッチング商談会でのポイントや、市場調査、知財調査の仕方、さらに本格的な医療機器開発フェーズでの医療機器基準の調べ方や、PMDA相談の活用の仕方についてもご説明くださいました。

最後は、薬袋博信先生((株)常光 札幌研究開発)より、「ものづくり企業の皆様が製販企業と連携するためのポイント」と題して、ご講演いただきました。ものづくり企業が製販企業と連携するためには、「どこへ進むのか?」、「連携先とどうやって出会うのか?」、「どこで出会うのか?」、「自社の強みをどう見せるか?」といったポイントを押さえることが重要です。ものづくり企業が製販企業を探すのは難しいのですが、ご講演の中で紹介されていた裏ワザには驚きました。

前多先生のお話も薬袋先生のお話も、医工連携の第一線におられる立場からの実践的な内容で、明日からすぐにでも使えるノウハウをたくさんご紹介くださいました。

交流会の後は、懇親会(名刺交換会)です。場所をIHK3階のリフレッシュスペースに移し、軽食をとりながら、ご講演いただいた先生方や、参加者同士の交流を深めていました。

 

次回7/6(水)の第10回IHK交流会は、特許庁より貝沼憲司先生をお招きし、ベンチャーエコシステムの活性化のために、特許庁がとりまとめた3つのコンテンツについてご紹介いただくと共に、最近の医療系ベンチャーの知財動向や知財戦略についてご紹介いただきます。

 

特許庁 ベンチャー向け情報

http://www.jpo.go.jp/sesaku/kigyo_chizai/startup.htm

 

ベンチャーの知財戦略にご関心のある研究者、学生、また企業の方々など、奮ってご参加ください。オープンイベントですので、どなたでもご参加いただけます。

 

第10回IHK交流会

https://www.ihk.med.kyoto-u.ac.jp/news/?p=538

 

【講演者ご経歴】

柏野 聡彦(かしの としひこ)

  • (社)日本医工ものづくりコモンズ 専務理事
  •    東京都医工連携HUB機構 プロジェクトマネージャー
  • (株)考える学校 代表取締役
  • (株)日本医工研究所 理事長

 

【専門】医療機器産業,医工連携による地域産業活性化

【略歴】1998年3月、筑波大学大学院理工学研究科修了。同年、総合シンクタンク入社(2016年4月退職)。医療機器産業に関わる多くの調査研究・コンサルティングを経験。2010年度には経済産業省「課題解決型医療機器等開発事業(現在のAMED医工連携事業化推進事業)」の初代の事業管理支援法人として、本事業のスタートアップに携わる。

東京慈恵会医科大学ME研究室訪問研究員や東京大学大学院医学系研究科客員研究員などを歴任。2013年9月から(社)日本医工ものづくりコモンズ 理事、2016年5月から同専務理事、現職。

最近は、医療機器特有の市場や法規制に関するノウハウを有する「製販企業」に注目し、製販企業とものづくり企業との連携による無理なく円滑な医工連携のかたち「製販ドリブンモデル」を提唱、全国各地の行政機関とともに製販ドリブンモデルの実践に注力している。

2015年7月~現在、東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャー。2016年2月~2017年3月、AMED臨床ニーズ抽出委員会(企業への橋渡し委員会)委員。2016年6月~2017年3月、経済産業省関東経済産業局「関東メディカルオープンイノベーションプラットフォーム構築事業」プロジェクトマネージャー。2016年6月~2017年3月、AMED「医工連携における知財権の活用に関する調査研究」委員会委員。2017年4月~、AMED「医工連携事業化推進事業」課題評価委員会委員。2018年1月~3月、AMED 科学技術調査員。

【受賞】2016年6月、著書「無理なく円滑な医工連携のかたち(製販ドリブンモデル)」について、日本医療機器学会より著述賞受賞。

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